日本は世界有数の災害大国である。以下の4つの理由があるという。「位置」4つのプレート上に位置している。「気候」アジアモンスーン気候地域である。「地形」国土面積が狭く山が多い。「都市構造」河川や海岸に接して都市や住宅が作られている。従って日本で生活する我々は、災害からは逃れることは極めて困難である。
2011年3月11日に起こった東日本大震災から、早いもので10年の歳月が流れた。その際に結成された「東日本大震災リハビリテーション(リハ)支援関連10団体」は、2020年4月に「日本災害リハ支援協会(JRAT)」と名称を変更している。超高齢社会での大規模災害時は救命・救急だけでは不十分で、避難所や仮設住宅での高齢者や障害者の生活不活発病への対策を発災後早い時期から組織的に関わり、場合によっては中長期的な支援が必要となる。
熊本県においては2015年に熊本県災害リハ推進協議会(JRAT熊本)が組織化され、当協会は事務局を担当している。2016年熊本地震が発生し、JRATは初めて全国規模での活動を行った。JRAT熊本は本部を運営する立場となったが、たくさんの方々の支援を受けながら何とかこの難局を乗り切った。この経験をいかし、「大規模災害リハビリテーション支援チーム本部運営ゲーム(REHUG)」という本部運営に関するゲーミング・シミュレーションの手法を用いた教育教材を開発した。現在は全国の災害リハ研修会で実践的な訓練として展開されている。また、熊本県は中長期的な支援を継続するために、熊本県復興リハセンターがJRAT熊本撤退後の活動を引き継ぐシステムを構築しており、当協会もその一端を担っている。
2020年7月には豪雨により球磨川が氾濫し、JRAT熊本は県内で2回目の災害支援活動を展開した。全国初のコロナ禍における活動となったが、感染拡大防止に配慮しSNSなどを利用しながら避難所支援を行った。
近年、日本各地で災害が頻発している。南海トラフ地震など巨大地震の発生が予測されている現状において平時に備えておくことが必要である。熊本県における災害リハの経験を他県理学療法士会や他地域JRATと共有するために、当協会は災害リハ教育にも尽力したい。
理事 佐藤 亮